-
近年、職場でのうつ病や、高齢社会に伴う認知症の増加などを踏まえ、国は従来の癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の四大疾患に、新たに精神疾患を加えて五大疾患と指定しました。つまり精神疾患は誰でもかかる可能性のある病気であり、精神医療の社会的な重要性はますます増加しています。
そして最近の精神科医療では、有効性が高く、副作用のより少ない、新しい薬物が次々に開発されています。また認知行動療法などの神経心理学的治療も発展してきました。
当院の医師は、一人ひとりが臨床のスペシャリストとして、「心」と「脳」のバランスを考えながら、科学的な根拠に基づく各種「治療ガイドライン」に沿った診療をするように心がけています。
さらに看護師、薬剤師、作業療法士、ソーシャルワーカーなどのコメディカルスタッフと連携を取りあうことで、患者さんが治療を受けやすく、回復につながる環境を整えています。
また認知症疾患医療センターを併設していることから、かかりつけ医、関連病院、行政、療養施設等との連携のコーディネートにも積極的に取り組んでいます。
-
当院を訪れる患者さん達には、少し休養したいと希望して入院する方もおられれば、長期の療養が必要になる方もいらっしゃいます。私達は、そうした方々それぞれの心の思いを受けとめ、安全で平穏な入院生活をしていただくことを看護の基本としています。
ともすれば単調になりがちな入院生活を少しでも楽しめるように、四季折々には病院全体で取り組む行事を開催。各病棟ごとにレクリエーションも行っています。時には、病棟のスタッフと共に4〜5人で一緒に外出することもあります。また作業療法スタッフとも連携し、チーム医療の充実をはかっています。
一人ひとりの顔がみえる当院の良さを生かし、人間らしいふれあいを大切にした雰囲気の中で、皆さまが穏やかに過ごせる空間を提供したいと考えています。
定期的に教育委員会として、看護師の勉強会を開催、医師を招いて疾患についての勉強会も行い研鑽に努めています。
[主な行事とレクリエーション]
- 1月
- 寒天・あんこ
- 2月
- 節分(豆まき)
- 3月
- 誕生会(1〜3月生まれ)
- 4月
- 芝桜花見
- 5月
- 誕生会(4、5月生まれ)
- 6月
- カラオケ大会
- 7月
- 誕生会(6、7月生まれ)
- 8月
- 夏祭り
- 9月
- 誕生会(8〜10月生まれ)
- 10月
- ソフトバレー大会
- 11月
- カルフルとちぎ(栃木県障害者文化祭)、誕生会(11、12月生まれ)
- 12月
- クリスマス会
-
作業療法は、月曜から金曜の午前・午後に実施しています。主に入院の方を対象にしていますが、主治医の許可があれば、外来の患者さんも参加できます。
屋内では絵画・工作・習字などの創作活動や、他の人との交流を兼ねたオセロや将棋、さらにはカラオケやパソコンでのゲームを楽しんだり、料理を企画して調理実習などをしています。
また屋外では畑作業として、季節の野菜を育てて収穫した野菜を、作業療法室で調理をして、みんなで食事会なども行っています。なぜ精神科作業療法が大切か、お話しましょう。例えば脳卒中にかかって治療を受けても、後遺症で体の麻痺が残った場合、リハビリテーションを受けて日常生活の自立を目指しますね。それと同じように精神疾患にかかると、いかに先進の薬物療法を行っても、日常生活の能力が低下してしまう場合が多いものです。
精神科作業療法を受けることによって、記憶力や集中力を高めたり、他の人とのコミュニケーション能力を高めることで、日常生活が一層円滑に送れることが期待できます。この作業療法は認知症を含めて、あらゆる精神神経科の病気に有効です。
作業療法室では個々の患者さんにあったプログラムを用意することによって、楽しく安心できる場のなかで、病気が知らず知らずのうちに回復することを心がけています。
-
病気を抱えている患者さんはもちろん、ご家族の方もできるだけ自分達で解決したいという思いが強いため、無理をしてしまうことが少なくありません。他の病気と同じように、早期発見・早期治療によって新たな光が見えてきます。
〈相談内容〉
- 病気や治療の上で疑問に感じていること
- 入院の必要性や退院後のこと
- 受けられる社会福祉サービスのこと等
このような点で気になることがあれば、一人で悩まずにご相談ください。様々な相談・支援活動に対応いたします。
〈相談・診察までの流れについて〉
9:00〜17:00 TEL:0287-82-2739
こちらにお電話いただきましたら、相談員(精神保健福祉士)にお繋ぎ致します。その際に診察までの経過も説明いたします。
ご本人やご家族から相談のお電話をいただくことで治療の一歩が始まります。お気軽にご連絡ください。
-
新規の患者さんへのお薬についての説明はもちろん、外来・病棟を問わず薬剤についての質問にはいつでも納得していただけるように十分な配慮を行っています。特に新しい薬が調剤されたり、薬剤が変更されると不安になる方が多いと思います。担当医師の処方に基づき、服薬について丁寧に説明するとともに、「家に帰ってからでも、不安になったらいつでも電話をしてください」「いつでも声をかけてください」などとお話ししています。
また近年、話題になっている薬物の適剤適量に努めるとともに、ジェネリック医薬品の導入にも取り組み、製薬メーカーから詳細な情報を入手したうえで、医師と薬剤師が意見交換をしながら慎重な調剤を心がけています。
当院では、医師や看護師やソーシャルワーカーなど、それぞれのスタッフに気軽に相談できる雰囲気があります。調剤室では、看護スタッフ等とコミュニケーションをとりながら、患者さんに納得していただける調剤に努めています。
-
食事は入院中の患者さんにとって、大きな楽しみのひとつです。当院では、嗜好調査をもとにした食事作りや、季節や四季に合わせてさまざまな行事食を盛り込んだり、一人でも多くの皆さまに満足していただけるような食事の提供を心がけています。
また当院では、病棟の看護師と管理栄養士が密に連絡を取り、検査値のデータ、食事摂取状態・摂取量等をふまえ、栄養状態を管理しています。患者さんの状態によっては、栄養補助食品を提供して、体力の改善を図っています。
患者さん個々それぞれ違いますので、その都度、医師、看護師、管理栄養士、調理スタッフが連携して、それぞれのニーズにできるかぎり対応していける体制を整えています。